富山湾は「天然生け簀」ていわれています。

富山湾は岸から離れると急激に深くなる「ふけ」という場所があります。そこにはプランクトンが豊富にいて、魚たちにとっての格好な餌場となっています。

ブリなどの回遊魚はこの日本海を、季節によって北上したり南下したりするんですが、この流れの緩やかな湾の中でひと休みするんです。すると好都合なことに豊富なプランクトンにもありつけて、どんどん脂肪を蓄えていくというわけなんです。

ではその「ふけ」に多くのプランクトンがいるかと言いますと、それはこの富山湾が高い山々に囲まれているからなんです。

立山連峰を代表とする飛騨山脈の山々、そして白山連峰。この山々に降り積もった大量の雪は雪解けとともに山にしみこみ、岩や砂と交わるうちに良質なミネラル分を宿しながら大量に富山湾に注ぎ込まれます。このミネラルたっぷりの山水がプランクトンたちをたくさん育てるのです。

日本海に生息する約800種の魚介類のうち、約500種が富山湾に生息しており、200種以上が水揚げされています。深海魚から回遊魚まで幅広く、季節ごとに旬の魚が楽しめます。

もちろん漁師さんたちの努力も見逃せません。
一つは定置網を発展させたことです。

氷見漁港のすぐ近くに定置網が設置されているため、漁獲後すぐに水揚げされ、鮮度抜群の状態で出荷されます。

もうひとつは氷です。水揚げされた魚は船の中で暴れます。すると身はどんどん傷んできて味が落ちます。そうならないために氷見の漁船には大量の氷が積まれていて、水揚げした魚を大量の氷で一気に冷やします。活け〆にするんですね。